データクレンジングとは?意味や目的、進め方、事例を解説!

データ活用のイメージ図

ビックデータという言葉が使われ始めてから久しく、データ分析・データ活用が当たり前の時代となりました。
そんな中、自社で蓄積したせっかくのデータを上手に活用していきたい、最近流行のデータ分析を取り入れたい、といった企業はまだまだ多いのではないでしょうか。
今回はデータ分析に必須の「データクレンジング」について詳細にご紹介していきます!

データクレンジングとは?

データクレンジングとは、データに含まれる誤りや重複、欠損、不整合を修正・削除し、データの品質を向上させる作業を指します。
英語では「Data Cleansing」または「Data Cleaning」とも呼ばれます。

近年、企業活動やシステム運用において大量のデータが蓄積されるようになりました。
しかし、収集されたデータにはミスや古い情報が混ざっていることも珍しくありません。
このままデータ分析を行うと、誤った結論を導きかねないため、データクレンジングは正確な意思決定や効果的な施策立案に不可欠なプロセスとなっています。

データクレンジングの目的

そんなデータクレンジングですが、主な目的は以下の通りです。

  • データの正確性向上:誤ったデータや重複データを取り除く
  • 分析精度の向上:ノイズの少ないデータで正確な分析を実施
  • 業務効率化:不要な確認作業や手戻りを防止
  • コスト削減:データベース容量を最適化し、管理コストを抑制

■データクレンジングの必要性

ではなぜ、データクレンジングが必要なのでしょうか。その理由は次の3つです。

1. データの信頼性を担保するため

誤った情報が含まれるデータは、ビジネス判断のリスク要因になります。
信頼できるデータを基に意思決定を行うため、クレンジングは不可欠です。

2. 顧客体験を向上させるため

たとえば、住所情報の誤りで商品が届かない、
メールアドレス間違いで案内が届かない──といったトラブルを防ぎます。

3. データドリブン経営を実現するため

データを活用したマーケティングやDX推進において、品質の高いデータ基盤は欠かせません。
データクレンジングは、その第一歩です。

きれいに整列したデータ群(表形式)

データクレンジングは、単なる「掃除」ではありません。
ビジネスを支える基盤整備そのものです。

精度の高いデータを活用できれば、マーケティング施策、営業活動、経営判断すべての精度が向上します。
まずは小さな範囲でもいいので、データクレンジングを始めてみましょう!

データ分析を実施するにあたり、データ分析基盤の構築についてまとめた記事も作成しているので、
詳しく知りたい方は以下のリンクからご覧ください。

データクレンジングのメリット

データクレンジングのメリットを表す図

データクレンジングを実施することで、ビジネスにどのような良い影響があるのでしょうか?
主なメリットを紹介します。

1. データ分析の精度が向上する

ノイズや誤りを除去したクリーンなデータを使うことで、
分析結果の正確性が高まり、より信頼性のあるインサイトを得られます。

2. 業務効率が改善する

誤ったデータによる二度手間、確認作業、修正対応が減少します。
その結果、業務スピードが向上し、担当者の負担も軽減されます。

3. 顧客体験(CX)が向上する

正確な顧客データがあれば、正しい宛先への商品発送やパーソナライズされたマーケティング施策の考案が可能となり、顧客満足度の向上につながります。

4. システム運用コストを削減できる

不要なデータや重複データを排除することで、データベースの容量削減やバックアップ時間の短縮、クラウド利用料の低減など、運用コスト削減が期待できます。

データクレンジングは手間のかかる作業ですが、得られるメリットは計り知れません。
正確な分析と施策立案、顧客満足度の向上、コスト削減、これらすべての基盤を支えているのは、高品質なデータです。
未来のビジネス成長に向けて、今こそ、データクレンジングに本格的に取り組みましょう!


データクレンジングの進め方・基本ステップ

データクレンジングは、闇雲に進めるのではなく、体系的なステップに沿って実施することが重要です。
ここでは、一般的な流れを5ステップで紹介します。


まず、対象となるデータを把握し、どのような問題が存在しているかを調査します。

確認ポイント例

  • 欠損(例:住所・電話番号の未入力)
  • 重複(例:同一顧客の二重登録)
  • 誤記(例:typo、誤った日付)
  • 形式の不統一(例:日付のフォーマット違い「2025/04/01」vs「4月1日」)

ここで大切なのは、問題を「見える化」することです。


問題が見えたら、どのようにデータを修正・統一するか、
ルールと方針を決めます

設計例

  • 日付はすべて「YYYY/MM/DD」形式に統一
  • 電話番号はハイフン(-)あり表記に統一
  • 姓名の間は全角スペース1つ
  • 「東京都」などの表記ゆれ(例:東京・とうきょう)を統一

ルールなしで進めると、修正方針がブレたり、再作業が発生したりします。
最初にルールを明文化することが成功のカギです。


次に、ルールに基づき問題のあるデータを抽出します。

手法例

  • SQLクエリでNULLや重複を抽出
  • Excelのフィルターや条件付き書式で異常値を洗い出し
  • データクレンジングツール(例:Talend、OpenRefine)で自動検出

抽出基準を明確にして、対象データをリスト化しておきましょう。


いよいよ、実際のデータクレンジング作業です。

対応例

  • 欠損値を正しい情報で補完(または空白削除)
  • 重複レコードをマージ(名寄せ)
  • 明らかな誤入力(例:メールアドレスに全角@)を訂正
  • 異なる表記(例:「株式会社」vs「(株)」)を統一

手動対応だけでなく、自動化ツールを活用すると効率化が図れます。


修正作業が完了したら、必ず検証と品質チェックを行います。

チェック方法例

  • ランダムサンプリングによる目視確認
  • 修正前後で件数やパターンがどう変わったかの比較
  • 外部マスタデータ(例:郵便番号データベース)との照合

また、クレンジング作業のログを残すことも重要です。
(いつ、誰が、どのルールで、どんな変更を加えたか)

これにより、将来のデータメンテナンスやトレーサビリティが確保できます。


ここまで5つのステップを紹介してきました。
特にステップ4に関わる内容ですが、効率的なデータクレンジングには、ツールの活用が欠かせません。
代表的なツールを紹介します。

ツール名特徴
Talend Data Preparation大規模データ対応、直感的な操作性
OpenRefine無料で使える、データクリーニング特化
trustrack(トラストラック)日本語対応、マスターデータ管理も可能
Excel Power Query手軽に使える、変換ルール設定が可能

状況に応じて、最適なツールを選択しましょう。

データクレンジングは単なる「掃除」作業ではありません。
正しい手順とルールに沿って進めることで、データの価値を最大化する重要なプロセスです。

今日から小さなデータセットでもいいので、
①現状把握
②ルール設計
③抽出
④修正
⑤検証
──この流れを意識して、クレンジングに取り組んでみましょう!

データクレンジングのステップについて、より具体的に教えてほしい、手伝ってほしい、失敗したくないという方はぜひ我々bizdataにご相談ください。

データクレンジングの具体例 ※例をまとめたスライドペラを挿入

ここまでデータクレンジングの概要やメリット、手順について説明しました。
ここでは、データクレンジングの具体例を紹介します。
どのようなデータでデータクレンジングが必要となるか、それをどのように修正するかを見てみましょう。


以下のスライドが①顧客データ、②商品データ、③住所データを例にしたデータクレンジングの具体例になります。
データクレンジングの前と後、データクレンジングでどのような対応を行っているか見てみてください。

データクレンジングの具体例のスライド

データクレンジングは「使えるデータ」に変える作業です。
単なる見た目の問題ではなく、正しい顧客分析や、正確なレポート作成、高品質な業務運用を支えるために、データクレンジングは欠かせません。
小さな違いも見逃さず、 現場業務にあった「使えるデータ」へと変換していくことがデータクレンジングの成功のカギです。

データクレンジングで発生しやすい課題・問題と対策

ここまでデータクレンジングについて概要やステップを説明してきました。
おさらいですが、データクレンジングとは、データに含まれる誤り・重複・欠損・不統一を正し、正確で一貫性のあるデータに整える作業を指します。

データ活用の第一歩として不可欠なプロセスですが、実際に進めるとさまざまな課題・問題に直面することも珍しくありません。

データクレンジングに潜む課題

ここでは、データクレンジングに取り組む際に
実際によくあるトラブル・悩みを整理し、原因と解決の方向性までわかりやすく紹介します。


1. ルール設計が曖昧で統一できない

問題点

  • クレンジングルールが曖昧で、人によって判断が異なる
  • 現場によって「表記のクセ」が違い、収拾がつかない

具体例

  • 「東京」と「東京都」どちらで統一するかルールが不明
  • 「株式会社ABC」と「(株)ABC」、どちらを正とするかバラバラ

解決策
・ 事前にクレンジング方針を明文化する
・ 具体的なサンプル(良い例・悪い例)を共有する


2. データ量が膨大で作業が終わらない

問題点

  • レコード数が多すぎて、人手では対応しきれない
  • クレンジング途中で疲弊し、ミスが発生する

具体例

  • 数十万件〜数百万件のデータを手作業で修正しようとした
  • Excelや手作業だけでは処理が追いつかない

解決策
・データクレンジングツール(例:Talend、OpenRefine)を活用する
・データ量が多い場合はサンプリングして進める
・バッチ処理や自動化スクリプトを導入する


3. そもそも正解データが存在しない

問題点

  • どのデータが「正しい」のか判断できない
  • 外部参照マスタがないため、補正基準が不明確

具体例

  • 顧客住所が「東京都新宿区」と「新宿区西新宿」のどちらが正しいかわからない
  • 法人名に正式名称が登録されておらず、正解を探しきれない

解決策
・可能な範囲で外部データベースや公的情報と照合する
・現場責任者の業務知見に基づき判断ルールを設定する
・完全一致にこだわらず、「業務上問題ない精度」で折り合いをつける


4. 修正作業中に新たなデータが発生する

問題点

  • クレンジングしている間にも、新規データが次々と追加される
  • いつまでたっても作業が終わらない

具体例

  • 顧客DBをクレンジングしている間に、さらに新規登録が続く
  • 商品マスタ更新中に、新商品の追加登録が入る

解決策
・作業対象データをスナップショット(静止データ)化して固定する
・新規登録ルールを一時的に厳格化し、後追いクレンジングを防ぐ
・運用と改善サイクル(PDCA)を設定し、段階的に対応する


5. 関係者間で認識がズレる

問題点

  • 営業部門、マーケティング部門、システム部門などで「データの理想像」が異なる
  • 部門間でルール統一ができず、プロジェクトが停滞

具体例

  • 営業:「多少古くても見込みリストとして使いたい」
  • マーケティング:「分析に使うから最新正確なデータが必須」
  • システム:「運用ルール変更はコストがかかるから極力避けたい」

解決策
・目的(何のためにクレンジングするか)を関係者で共有する
・最初にゴールイメージを明確に合意形成してから進める
・必要に応じて専門ファシリテーターを立てる


課題発生時に意識すべき3つの視点

①ゴール志向:「何を実現するためのクレンジングか」を明確にする
②柔軟な判断:100%完璧よりも、実用レベルで割り切ることも必要
③継続改善:1回きりで終わらせず、定期的にクレンジング体制を見直す


データクレンジングは、単なる作業ではありません。
課題と向き合いながら、データ基盤を強くするための「改善活動」です。

最初から完璧を目指す必要はありません。
小さな問題に一つずつ対処しながら、「正確なデータがある」安心感を積み重ねていきましょう!

まとめ

データクレンジングは、正確で信頼できるデータ活用を実現するために欠かせないプロセスです。
一見地味な作業ですが、ビジネスの成果を左右する重要な基盤づくりといえるでしょう。
まずは小さなデータセットからでもいいので、クレンジングの流れを実践し、少しずつスキルを高めていきましょう!

当社bizdataはいつでも力になりますのでお声がけください。

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