BIツール導入のメリットや手順・事例をご紹介!

BIツール導入を検討する際、導入によって業務がどのように変わるのか、どれほどメリットがあるのか、収益につながるのか。
やはりそこが一番気になるポイントと存じます。
本記事ではBIツール導入のメリットについて前後比較や事例を踏まえてご紹介します。

データを活用したビジネスイメージ

1. BIツール導入の目的と必要性

■ BIツールとは?

BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとは、企業が保有する膨大なデータを可視化・分析・共有するためのツールです。
意思決定のスピードと質を高めることを目的に、営業、経理、人事、製造など、あらゆる部署で活用が進んでいます。


■ 導入の主な目的

データドリブンなビジネスイメージ

 ① 意思決定の迅速化

  従来、経営判断にはExcelや紙資料が多く使われてきましたが、データの収集・整理・分析に時間がかかっていました。BIツールを導入すれば、リアルタイムに数字を把握し、その場で判断が可能になります。

 ② データの一元管理と可視化

  社内に散在していた情報を一か所に集約し、誰でもアクセスできる「見える化」環境を構築することで、部門間の連携や業務改善が加速します。

 ③ 属人化の防止

  特定の人しか分析できない状況では、退職や異動によって業務が止まるリスクも。BIツールにより「誰でも使える分析環境」を作ることで、属人化を防止できます。


■ BIツール導入の必要性(なぜ今、必要なのか)

 ▼ビジネス環境の変化に対応するため

  昨今の経営環境は、「変化のスピードが極端に早い」という特徴があります。市場のニーズや顧客行動の変化をタイムリーに察知し、柔軟に対応するには、データドリブンな経営が不可欠です。

 ▼「勘や経験」からの脱却

  従来の意思決定が「ベテラン社員の勘」に頼っていた企業も少なくありません。しかし、経験だけでは対応できない複雑な課題が増える中、データに基づく客観的判断が求められています。

 ▼ DX(デジタルトランスフォーメーション)の土台

  DX推進の第一歩は、「現状を正しく可視化すること」です。BIツールはまさにその入り口となり、企業全体のデジタル化の基盤を担います。


BIツールは「入れること」自体が目的ではありません。
「どんな課題を解決するために導入するのか」を明確にすることで、定着率や活用度が大きく変わります。

以下のような視点で、自社の目的を整理しましょう:

導入目的解決できる課題活用部門
意思決定の迅速化レポート作成の手間、対応の遅れ経営・マネジメント
業務改善ムダな作業、手戻り、属人化全部門
顧客分析リピート率が低い、マーケ施策の効果が不明営業・マーケティング

導入の目的は非常に重要ですので、目的をきちんと整理してから次の内容に移りましょう。(今は頭に思い浮かばベるだけでも大丈夫です。)
次のステップではBIツール導入のメリットとデメリットについて、導入前に知っておくべき成功と失敗のポイントをご紹介します。

2. BIツール導入のメリット・デメリット

まずはメリットから説明していきます。
具体的なメリットに入る前に、BIツールの導入の本質的な価値について説明します。


ビジネスにおける問題解決の考え方は多数ありますが、一般的には以下の4ステップで考えることができます。
①課題分析  理想と現状の差分を定量的に特定
②問題特定  差分の発生個所の特定
③真因特定  原因を深掘りして真因を探る
④解決策立案 解決策の立案と評価
この4ステップのうち、①課題分析・②問題特定のスピードアップを図れることが、BIツール導入の本質価値となります。

本質価値の説明。

BIツールは、設定した目標やウォッチしたい指標に対する進捗状況をグラフやチャートを使って表示します。
これにより、何が順調で何が改善を要するかが瞬時に分かります
リアルタイムのデータを提供するため、経営者やチームリーダーは状況に応じた迅速な意思決定が可能になります。
そのため、BIツールを導入すると、分析~意思決定までのスピードを速めることができ、PDCAサイクルで言うと"C"の部分を大幅に時短できるのです。

ここからはより具体的にBIツールの導入メリットについて紹介していきます。
以下の5つのメリットが代表的です。

① データを可視化し、迅速な意思決定が可能

  • ダッシュボードを活用し、売上・コスト・KPIなどのデータをリアルタイムで可視化
  • Excelの手作業では難しいトレンド分析や異常値の検出が容易

 ■具体例
  「先月の売上が急落した理由は?」→ BIツールのドリルダウン機能を使えば、地域・商品別の売上変化を即座に把握可能


② データ集計・レポート作成を自動化し、業務効率化

  • データの取り込みからレポート作成まで自動化し、手作業を削減
  • 最新データを即時反映し、Excelのような手入力のミスがなくなる

 ■具体例 
  導入前:営業部が毎月手作業でExcelレポートを作成(2日かかる)
  導入後:BIツールでリアルタイム更新 → レポート作成時間がゼロに!


③ 多様なデータソースと連携し、一元管理が可能

  • ERP、CRM、Google Analytics、Excel、クラウドDBなど、複数のデータソースを統合
  • バラバラに管理されていた営業・財務・マーケティングデータを一元化

 ■具体例
  売上データ(Salesforce)+Web広告データ(Google Ads)+在庫データ(ERP)をBIツールで統合し、ROI(投資対効果)のリアルタイム分析が可能に


④ AIや機械学習を活用した高度な分析が可能

  • BIツールにはAI機能が搭載されており、過去データをもとに売上予測や異常検知が可能
  • 統計知識がなくても、高度なデータ分析が簡単に実施できる

 ■具体例
  「来月の売上はどうなる?」 → AI予測機能を活用し、自動でトレンドを算出


⑤ クラウド対応で、どこからでもアクセス可能

  • クラウド型BIツールなら、PC・スマホ・タブレットからアクセス可能
  • リモートワークや出張先でも、リアルタイムでデータを確認できる

 ■具体例
  出張中の営業部長が、タブレットで売上データを確認し、即座に施策を決定


以上のようなメリットがある一方でBIツールにはデメリット(注意点)もあります。
ここからそのデメリットについても見ていきましょう。

BIツールを用いたビジネス像

① 導入コスト・運用コストがかかる

  • 高機能なBIツールは初期導入費用+月額利用料が発生
  • 大企業向けのBIツールは数百万円〜数千万円のコストがかかる場合も

 ■具体例
  無料のLooker Studio(旧Google Data Studio)なら0円で導入可能だが、
  TableauやPower BIのフル機能版は月額1万円以上

 ■対策
  小規模企業は無料ツールを活用し、大企業はROI(投資対効果)を試算して導入判断


② データの整備・クレンジングが必要

  • BIツールは、正確なデータがなければ意味がない
  • データのフォーマットが統一されていないと、正しく集計・可視化ができない

 ■具体例
  部門ごとに異なる形式のExcelデータを統合しようとすると、エラーが発生しやすい

 ■対策
  BI導入前に、データの標準化(フォーマット統一)を行う


③ 社員のリテラシー(データ活用力)が求められる

  • 高度なデータ分析には、データリテラシー(統計・SQL・BI操作スキル)が必要
  • 部門ごとに適切なデータ活用トレーニングを実施しないと、使いこなせないまま終わる

 ■具体例
  「BIツールを導入したが、現場で誰も使いこなせず、Excel管理に逆戻り…」

 ■対策
  導入時にトレーニングを実施し、社内のデータ活用文化を醸成する


④ カスタマイズの難易度が高い場合がある

  • 一部のBIツールはデータ処理・可視化のカスタマイズが難しい
  • TableauやPower BIは強力な機能を持つが、SQLやDAXなどの知識が必要な場合も

 ■具体例
  「Power BIを導入したが、ダッシュボード作成にはDAX関数が必要で、スキル不足で活用できない」

 ■対策
  ・ノーコードで使えるBIツールを選択する(例:Looker Studio、Domo)
  ・外部の専門家と協力し、カスタマイズをサポートしてもらう

また、上述とは別の例で、A社というIT企業の大きな失敗事例をご紹介します。
データ

サーバーにはデータ収集する際にデータ量に応じて料金が発生する場合があります。
A社はこのことを知らずに膨大なデータをBIツールに処理させたことで、許容データ量を大幅に超えてしまいました。
その結果数百万円という費用を追加で支払うことになってしまったという事例になります。

その失敗を基に弊社にお声がけいただき、今では安全にしっかりと成果が出ていますので、
こんな失敗最初からしたくないという方はぜひ我々bizdataにご相談ください。

3.BIツールの導入ステップ

では実際にダッシュボートを作りたい、導入したいと思った方はどうすればいいのか、ここからBIツール導入ステップを説明していきます!

目的設計/要件定義~ダッシュボード構築まで、ダッシュボート導入(データ活用・可視化における一連の流れ)は以下のようになります。
以下の5つのステップと各項目について、解説します。

目的設計/要件定義~ダッシュボード構築まで、データ活用・可視化における一連の流れを示した図です。

ダッシュボード構築の成功には、まず「何を目指すのか」「何を解決したいのか」を明確にすることが重要です。
このステップでは、ダッシュボード構築の目的と必要な要件を整理します。

ビジネス課題整理

企業が抱える問題を明確化し、それに基づくダッシュボードの必要性を洗い出します。
例:売上減少の原因特定や生産性向上のための指標可視化。

業務情報整理

業務プロセスを把握し、どの情報がKPIに影響を与えるかを整理します。
例:営業プロセス、在庫管理、顧客満足度調査のデータフローをマッピング。

KGI、KPIの整理

最終的な目標(KGI)と、その達成度を測る指標(KPI)を定義します。

要件定義書

必要な機能、データソース、ダッシュボードの利用者、更新頻度を明文化します。
例:データ更新はリアルタイム、ユーザーは営業部門と経営層。

プロジェクト計画書

スケジュール、リソース配分、チーム体制を策定し、プロジェクトの進行を計画します。

目的設計/要件定義のイメージ図

このステップでは、要件に基づいて具体的なダッシュボードの構造や見た目を設計します。

要件詳細定義書

要件定義書を基に、ダッシュボードに必要な詳細仕様をまとめます。
例:表示する指標、グラフの種類、フィルタリング機能の内容など。

データ調査

必要なデータがすべて揃っているか、不足データを補う方法を検討します。

デザイン

視覚的にわかりやすい構成を検討します。色使いやレイアウトを明確化します。

ワイヤーフレーム作成

ダッシュボードの構造を紙やデジタルツールでスケッチし、全体像を共有します。

モックアップ作成

ワイヤーフレームを基に、実際に近い状態のデザインを試作。関係者と確認します。

ダッシュボード設計のイメージ図

データを統合・整理し、ダッシュボードで活用できる状態にするプロセスです。
データマートとは、特定の業務や部門向けに最適化された小規模なデータベースのことです。
データウェアハウス(DWH)が全社的なデータを統合するのに対し、データマートは特定の目的(例:営業、マーケティング、財務)に特化して設計されています。

テーブル設計

ダッシュボードで使用するデータを整理し、必要なテーブル構造を設計します。

E-R図作成

データ間の関係性を視覚化することで、データモデルを明確にします。

API連携

外部システムやデータベースから必要な情報を取得する仕組みを構築します。

パイプライン構築

データを収集・加工・保存する流れを自動化するプロセスを設定します。

前処理

不要なデータの削除や形式の統一を行い、分析に適した状態に整えます。

少し専門的な言葉を用いると、バックエンドシステムでは、データレイク・データウェアハウス・データマートの3層構造でデータを保管、それぞれの間ではデータパイプラインを構築しデータを連携することが一般的です。

データマート構築のイメージ図です。

設計に基づき、実際にダッシュボードを作成します。

関数/指標名の作成

データから必要な指標を算出するための計算式を設定します。
例:売上=単価×販売数。

チャートの作成

KPIごとに適切なグラフやチャートを選び、視覚的に情報を整理します。

フィルターの配置

地域や期間など、ユーザーが必要な情報を絞り込めるフィルターを設置します。

動作確認

全体の動作をチェックし、不具合やデータの齟齬を修正します。

ダッシュボード構築のイメージ図です。

構築したダッシュボードを日常業務で活用し、改善を続けます。

運用モニタリング

ダッシュボードが正しく動作しているか、定期的にチェックします。
例:データ更新が遅れていないか、不具合が発生していないかの確認。

改善案の提案&実行

利用者のフィードバックを基に、使い勝手や機能の改善を実施します。

整合性確認サポート

新たなデータソースが追加された際、既存のデータと整合性を保つためのサポートを行います。

導入説明会自走支援

利用者がダッシュボードを効率的に活用できるよう、説明会やトレーニングを実施します。

分析手法レクチャー

社員が自分でダッシュボードをカスタマイズしたり、分析したりできるように教育します。

BIツールの導入には、段階ごとに明確な目的と手順が必要です。
これらのステップを順序立てて実施することで、ビジネス課題を解決し、組織の意思決定を強力に支援するツールを構築できます。
ダッシュボード構築に関連して、専門用語がたくさん出てきました。
上述したデータマートやデータウェアハウス(DWH)といった専門用語、特にデータ分析基盤についてまとめた記事も作成しているので、
詳しく知りたい方は以下のリンクからご覧ください。

また、BIツールの導入に際して、どんなBIツールを選んだら良いかわからないという方は以下の記事をご参照ください。

4: BIツール運用に必要なスキルと知識

BIツールを用いた会議

BIツールは導入するだけで成果が出るわけではなく、適切なスキルと知識を持った人材による運用が成功のカギを握ります。
以下に、BIツールの運用・活用に求められる主なスキルを解説します。

必須スキル一覧

スキル内容備考
データリテラシーデータの意味を理解し、正しく読み解く力部門担当者全員が持つべき基礎スキル
KPI設計力業務に即した指標を定義し、分析視点を設計する力経営層・マネージャー向け
BIツール操作スキルダッシュボードの作成、レポートのカスタマイズ等Tableau、Power BIなどによって操作感が異なる
データベース・SQLの基礎知識必要なデータを抽出するためのクエリ作成上級者向けだが、ノーコード化も進行中
ETL知識データ抽出・変換・統合処理の理解データ連携を行うIT部門に必須
セキュリティ知識権限設定やアクセス管理に関する知識個人情報や機密データの管理が重要

実務に即した活用スキル

 ◎ビジネス視点での分析力

  「どの数字をどう見れば業績が上がるのか」という視点を持ち、仮説検証を繰り返す力が求められます。ツール操作よりも重要な部分です。

 ◎部門を横断するコミュニケーション力

  分析結果を誰にでもわかりやすく伝えるプレゼンテーションスキルも、BI運用者には求められます。

 ▼事例:BIツール導入企業の声

  ユーザー教育を徹底し、営業部門にも「KPI設定」や「数字の読み解き方」の研修を実施することで、現場でのデータ活用が飛躍的に向上したという企業が多数。

導入後、社内に浸透させるためにも、教育体制の構築や研修にかかるコスト面も意識しておきましょう。


5: BIツールと社内システムの連携

データ分析・活用のイメージ図です。

BIツールの真価を発揮するには、「データの質」と「データの流れ」が整っていることが不可欠です。
そのため、社内システムとの連携はBI活用の土台となります。

■ 主な連携対象システム

システム内容連携メリット
ERP(基幹業務)会計、販売、在庫など経営全体の可視化
CRM(顧客管理)顧客属性、問い合わせ、商談履歴など顧客分析、LTVの向上
SFA(営業支援)営業進捗、案件情報受注予測や営業活動の最適化
DWH(データウェアハウス)構造化データの一元管理高速・大容量データ分析
ExcelやCSVファイルローカル管理データ柔軟なデータ取り込みが可能

■ 連携方法と技術的なポイント

  • API連携:リアルタイムでのデータ取得に最適。Power BIやTableauなど多くのBIツールが対応。
  • ETLツールの活用:Alteryx、Talendなどでデータ変換処理を効率化。
  • スケジュール連携:毎日・毎週など定期的に自動更新できるよう設定可能。
  • セキュリティ管理:連携元のデータには適切なアクセス制限と暗号化が必要。

■ 具体事例:社内連携の成功パターン

 ▼ 製造業C社

  ERP、販売管理、Excelを連携し、ダッシュボード上で販売実績と在庫状況を同時に可視化。これにより、過剰在庫の削減と発注リードタイムの短縮に成功。

 ▼ サービス業D社

  CRMとBIツールを連携させ、顧客ごとの利用履歴や問い合わせ内容をもとにアップセル施策を自動分析。結果として顧客単価が前年比15%向上。


■ 社内システムとBIを連携する際の注意点

  • データの正規化ができているか
  • 社内に統一されたマスターデータがあるか
  • 重複や欠損データの整備
  • IT部門と現場部門の連携体制の構築

BIツールを活用するには、データを見る力と使う力の両方が求められます。
そして、その力を最大限に引き出すためには、社内システムとのスムーズな連携が不可欠です。
「ツールを入れただけで終わり」ではなく、活用できる環境と人材の育成を同時に進めることが、成功の鍵となります。

6.まとめ

ここまでBIツールの導入について、導入方法やメリットデメリット、運用に必要なスキル等様々な観点に触れて説明してきました。
BIツールは業務を効率化し、ビジネスの競争力を確実に向上させるツールです。
これを機にしっかりと検討し、自社に合ったツールを導入してくだい。
当社bizdataはいつでも力になります。

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